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2020.07.22更新

【体験レポ】萬祝染体験@鴨川萬祝染 鈴染

【体験名】萬祝染体験(鴨川萬祝染鈴染)

 

県指定の伝統工芸品「萬祝染」の色さしを体験。鮮やかな顔料を筆にとり、自分で配色を考え、生地に描かれた絵柄の上にのせていく。顔料を乾かすところまでを店でおこない、生地を持ち帰り糊を洗い落として仕上げる。

 

 

■房総漁師の文化に触れるにゃ

 

鴨川の海沿いを歩くと、漁船の船着き場が多くあることに気づくと思う。港というと大きなものを想像するかもしれないけど、実際には歩いてまわれるくらいの範囲に点在していて、付近には船が並ぶ。それらの漁船は、お正月やお祭りになると、一斉に「おめかし」をする。それが、今日の体験「萬祝染」と関係しているんだ。

 

 

■漁師の晴れ着、「萬祝」

昔、桁外れの大漁があった時に、網元から仲間の漁師たちに反物が贈られ、それを長着やはんてんに仕立てて、揃いの祝い着にしたという。それが「萬祝」。今から200年以上前に房総で発祥し、東日本の太平洋沿岸に広く普及していたそう。

この風習は今では形を変え、鴨川では萬祝染で作った大漁旗を、船を新しくした船主さんにお祝いや大漁祈願で贈る形で残っている。だから、屋号や船主の名前にちなんだ船名入りの一点ものの大漁旗を、漁師さんはたくさん持っている。お正月やお祭りの時には、船着き場に並んだ船にそれぞれの大漁旗が掲げられ、カッコいいんだ!

 

「萬祝」も「大漁旗」も、他の誰かに贈るもの。縁起をかつぎ、仲間を大切にする漁師さんならではの文化だと、僕は思う。萬祝には家紋や船印を入れ、海や漁にかかわる縁起の良い図柄を入れる。背中に大きな柄を入れるのが特徴なんだって。海の男は背中で語る! 粋だね。

 

 

■萬祝染の専門店「鈴染」

 

そんな漁師さんの文化を支えてきた萬祝染の店は、いまや国内に数軒しかないという。萬祝染の専門店「鴨川萬祝染 鈴染」は、型の作成から顔料や糊作りまで、すべてを昔ながらの手法と材料で行う老舗。

 

 

■染めの色つけ作業「色さし」に挑戦!

今日はたくさんある工程の中から、「色さし」を体験するよ。スライドで萬祝の文化や工程を一通り学んで、先生の実演を見せてもらったら、製作スタート。

 

 

■絵柄を選ぶ

 

鯛、鶴、オットセイの3種類から、好きな絵柄を選べるよ。

鴨川市の海といえば、小湊の鯛が有名!(でも、国の特別天然記念物だから、漁はしない。この話は、また別の機会に…)。お祝いごとといえば、鶴。でも、オットセイ!?不思議に思えるけど、オットセイも伝統の絵柄なんだって。鴨川にはアシカ島と呼ばれる小島もあったりするんだけど、そうした動物がいたのかもしれないね。今は見ないけど。僕たちは、鶴と鯛をそれぞれ選んだよ。

 

 

■配色を決めたら、塗っていくにゃ

 

色々な太さの筆や刷毛を使い分けて、8色の顔料を生地にのせていく。色は不透明なので、ペンキみたいで塗っていて気持ちがいい。あらかじめ作ってくれてある茶色の輪郭は、特殊な糊で描かれていて、色が乾いた後、生地ごと水でふやかして流すと、そこだけ色が落ちるんだ。だから、輪郭の上から色を塗ってOK!はみ出さないように注意する。

薄い色から先に塗っていくと、少し失敗しても直しやすいんだって。でも、夢中になるうちに、濃い色を先につけてしまったり…。一緒にいたウェルスポの人に、僕が「こんなに集中しているところ、初めて見た」って言われたよ。普段の仕事より、ってことかな…?

 

 

■ただ塗るだけじゃない難しさ

 

色のグラデーションが萬祝染の魅力のひとつ。色を合わせる時は、乾かないうちに!時間との勝負。きれいにできた!かな?

広い面を塗ってから、細い筆で細かい部分を仕上げていく。緊張する。

気づいたら、黄色をたくさん使っていた…。鶴の白目もはみ出しちゃった。でも、先生の指導で何とか修正!

最後に黒目を描き入れる。今日一番の緊張だったよ!表情が決まる箇所だから、職人さんも一番気を付けるところなんだって。今日の作業はこれで終了。先生にドライヤーで乾かしてもらって、持ち帰る。

 

 

■糊を洗い落して、完成!!

 

色が完全に乾く数日後に、自宅で糊の部分を洗い落とす。数時間は水につけたままにして、その後、流水で流した。顔料を乗せすぎたのかな?所どころ、色の端がはがれてしまった。でも、思ったよりも上手にできたよ!

 

 

■体験を終えて

 

ぬり絵のようでつい夢中になった。色のひとつひとつが原色で濃く美しいので、もっとたくさん塗りたくなる。今度は身につけて使えるものを作ってみたいな。

里海の文化と密接な関係にある萬祝染。鴨川で生まれ育った僕には、祭りなどで見かける身近なものだけど、歴史を知ると、大切にしていきたい文化だと改めて感じた。絵柄も背景にある文化も、日本的で特徴ある萬祝染。伝統のものだけではなく、色々な絵柄も見させてもらい、改めて萬祝のカッコよさを深く知ることができた!

 

 

■注意した方がよいこと

 

顔料はつくと取れないので、汚れても良い服装がおススメ。

 

 

■おまけ

 

体験の先生をしてくれた鈴木理規(りき)さんは鈴染4代目の修行中。昔ながらの染め方を守りつつ、新たな作品作りにも取り組む気鋭の若手職人さん! 染体験では年間600名ほどを指導されるという。

 

体験場所(工房)では、商品もたくさんあって、見ているだけでも楽しい。デザインは魚、鶴、亀、龍などの他、まんぼう、招き猫など変わった絵柄も。製品はTシャツ、トレーナー、布バッグ、本革バッグ、カードケース、下駄、マグカップなどなど。萬祝の絵柄をプリントした品もある。

伝統の絵柄だけではなく、自由な絵柄でチームウェアなどのデザインもしてくれる。僕はこのサイクルジャージが欲しくなった!

 

鈴染ではホームページが充実しているので、ぜひ見てみてほしい。

⇒鴨川萬祝染 鈴染 公式ウェブサイトへ

 

萬祝染について千葉テレビで放映された映像がYouTubeにアップされている。萬祝の文化が分かりやすく紹介されていておススメだよ。

⇒YouTubeチバテレ公式「ちば見聞録」

 


【体験概要】

取材日 2020年7月22日(水)

鴨川萬祝染 鈴染/萬祝染体験

1人 1,650円(税込)/所要時間 1時間30分

 

※記事の内容は取材日の体験に基づくものであり、今後、内容変更等の可能性があることをご承知おきください。

※体験の申し込みや問い合わせは、施設のウェブサイト(下記リンク)より、施設へ直接ご連絡お願いします。

⇒鴨川萬祝染 鈴染ホームページへ

 

 

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